どうすればやる気を出せるのか?100のモチベーション理論を一気に学べる「モチベーション大百科」

西村創一朗
NOW OR NEVER
Published in
7 min readJun 19, 2017

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先週届いた『図解 モチベーション大百科』を早速読んだのですが、これは永久保存版ですね。常にデスク周りに置いておきたい一冊です。

『モチベーション3.0』など、モチベーションをテーマにした本は数多あれど、こうして「辞典」のような形で一冊にまとめられている本はこれまでありませんでした。

自分自身のモチベーションを高めたい、と思っている人はもちろん、営業・人事・マーケターなど「人を動かす」ことを仕事にしている方から、部下を持っていたり、子育てをしていたり、「人を育てる」中で悩みを抱えている方も必読、必携です。

意思決定、動機づけ、人材育成など7つのカテゴリに分類

本書では、「プライミング効果」や「キャンディ効果」、「返報性の原理」など100以上のモチベーションに関する理論や法則が、以下の7つのカテゴリに分類されています。

・動機づけ(Motivation)

・人材育成(Human Resource Development)

・目標設定(Goal Setting)

・意思決定(Decision Making)

・人脈づくり(Personal Connection)

・自己管理(Self Management)

・発想転換(Idea Conversion)

例えば、「動機づけ」のカテゴリには、次の14の理論がまとめられています。

  • 目標勾配:ゴールを間近に感じさせる
  • キャンディ効果:スモールプレゼントをする
  • 消費ゴール:報酬を予定する
  • 自問式セルフトーク:自分にもお伺いをたてる
  • マインドセット:価値観と行動を結びつける
  • 内発的動機づけ:報酬は一つにする
  • 小分け戦略:手数を増減させる
  • 同調状態:動きを合わせてから、取り掛かる。
  • 課題の妥当性:噂に気をつける
  • 証明型と習得型:当人比で評価する

こんな形で、各カテゴリごとに10〜17個の理論がまとめられているのですが、見開き2ページで一つの理論が図解で紹介されていて、とても分かりやすいです。早速、いくつかご紹介しましょう。

目標勾配

今ゴールにどれくらい近づいているか、フィードバックを与えるだけで、達成度が上がるという「目標勾配」についてのページです。

同じ「10杯飲んだら無料」なのに、最初から2個スタンプが押してあるBパターンの方が、はるかに多く目標を達成して、無料の一杯を手に入れた、という話です。これはいろんな施策に応用できそうですよね。

プロスペクト理論

「人間は利益を得る場面では確実に取れる利益を取り、リスクを前にするとその全てを回避しようとする傾向がある」というプロスペクト理論。行動経済学で最も有名な理論の一つですよね。

上記の実験では、「2000人の従業員を救える」と「4000人の従業員が失われる」とでは、全く同じ意味合いであるにも関わらず、実際にはパターン1では80%の人が2000人を確実に救えるプランAを選び、パターン2では82%の人が不確実性の高いプランBを選択しました。

「得るものか、失うものか、話の順番によって、選びたいものが変わる」

というプロスペクト理論も、人に意思決定を促す問いを設定する上で非常に参考になりそうです。

焦点の移動

「人の考え」に対して、なぜそう思うか?と「理由」をたずねると強化され、「目的」をたずねると軟化される傾向を利用する「焦点の移動」です。

ネガティブな考えを目の前にすると、ついつい「なんでそう思うの?」と理由をたずねてしまいがちですが、むしろそれは逆効果なんですね。

ネガティブな考えを、ポジティブに変えたければ、「そう考えることで、仕事にどう役立っているか?」と目的をたずねた方が良い。

そうすると、「どうすれば、仕事を面白くできるだろうか?」と思考のベクトルがポジティブに向き始めるのだそうです。

「モチベーション大百科」には、人を動かすヒントが詰まっている。

今、「モチベーション」は仕事でもプライベートでも、非常に重要なキーワードになっています。

「なんだか今日は、モチベーションが上がらないな」とか、「うちの会社の社員のモチベーションが低いのはなぜだろう?」とか、「どうやったらうちの子の勉強に対するモチベーションが上がるのか?」などなど、モチベーション問題に直面しない日はありません。

「どうやったら、自分のモチベーションが上がるのか?」

「どうすれば、人を動かせるだろうか?」

と行き詰まった時に本書を手にとってパラパラページをめくって、活用できそうな理論がないか探してみる。

ちょうど、英和辞典・和英辞典を見ながら英語を学習するように、「モチベーション大百科」を辞典的に使って、日々の仕事や家事育児に取り入れてみる、という使い方がオススメです。

読んでみて気に入ったら自宅に一冊、職場のデスクに一冊、買っておいても良いかもしれませんね。

オススメの一冊です。

昨日、BOOK LAB TOKYOでも発見しました。

「図解 モチベーション大百科」の著者と語るイベントをやります!

著者の池田貴将さんに「『朝渋』という朝活型読書コミュニティをやってるんですが、そちらにいらっしゃいませんか?とお誘いしたところ、ぜひに!ということで『朝渋』にいらして頂けることになりました!

本で書かれていたことをもっと突っ込んで聞きたい、という方はもちろん、日々の仕事や私生活の中で感じている課題に対して、行動心理学の専門家である著者の池田さんに直接聞けるチャンスですので、ご興味ある方はぜひ参加してみてくださいね。

僕自身、とっても楽しみにしています。

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HRマーケター/複業研究家。30歳@三児の父。2015年6月、リクルートキャリア在籍中に「二兎を追って二兎を得られる世の中をつくる」というビジョンを掲げ、株式会社HARESを設立し、代表取締役社長を務める。NPO法人ファザーリングジャパン理事